かねと

あざやかな緑のお湯の色「彩」

「深蒸し茶の基本は、抹茶を溶かしたような色合いと味わい」と考え、品種選びや被覆技術の向上に努めています。

「深蒸し茶」について

 ②需要拡大と発展:

1970年の静岡県における規模別茶販売農家は、その約90%が茶園面積0.5ha以下の小規模である。牧之原においても同様で、産地茶商Cは将来の量産を見据えて、小規模生産者の組織化を生産者Aに要請し、6 戸による生産体制を整えた。同時に斡旋業者Bにそれを支援する主体(斡旋業者、機械業者、運送業者)の連携が、円滑に行えるような仕組みを作らせた。そのことにより深蒸しの荒茶製造数量が急増し、取引された荒茶平均価格は、静岡県全体の平均価格を20%以上も上回るなど、深蒸し茶に特化した茶づくりの成果が出始めていった。 (加納・納口2018 「農業経営研究」誌に投稿中の報告論文を一部引用しました)

 

抹茶を溶かしたような色合いと味わい:

深蒸し茶は、牧之原台地などの肉厚な茶葉の付加価値を高めるために考案・開発されたと言われています。肉厚な茶葉は、形状が破断される寸前まで蒸さないと品質が向上しないといわれていました。しかし、しっかり蒸すと、変質のひとつである「葉ムレ」を製造工程中に生じるリスクがあります。それをどう防ぐか、工夫や対策が必要になります。実際には、内質(お湯を注いで品質を鑑定する項目)のうち、滋味(カルキ臭の強い都会の水道水に負けない、濃い味わい)と水色(抹茶を溶かしたような濃厚な緑色)の実現も考えながら、改良を重ねました。一方、香気は蒸気を強く当てるため、薄くなるのはやむを得ないと判断されました。

山間地のお茶のような清らかな香りは無くなりますが、その代わりに、クリやサツマイモを蒸かした時にする「蒸けた甘い香り」を出すことを目標にしました。

このように、深蒸し茶作りにおいては、抹茶を溶かしたような色合いと味わいを出すことが、常に追求されました。これが実現できる生産者は、「名人」として一目置かれました。

 

蒸し茶に合った品種(選び):

深蒸し茶には製造する時に、水色を「緑濃く、鮮やかに」することが求められることは何度も書きましたが、一方で緑濃い鮮やかな水色が出やすい、深蒸し茶に向いた下記のような品種があるのをご存知でしょうか?

 

①あさつゆ:旧農林茶試・金谷の圃場内の宇治在来種の実生から選抜されました。天然玉露とも呼ばれています。

②つゆひかり:静7132(♀) × あさつゆ(♂).摘採適期を迎えた新葉は明るい淡緑色を呈し、水色が特に秀逸です。

③かなやみどり:国茶S-6(♀) × やぶきた(♂).葉の色沢は明るく、水色は濃い。香味はミルクに似た甘さがあります。

④おくみどり:やぶきた(♀) ×静岡在来(♂).愛知県ではてん茶、福岡県では玉露としての評価が高い、晩生品種です。

➄さえみどり:やぶきた(♀) × あさつゆ(♂).とろりとした旨味を感じさせる香り。葉の色沢と滋味が優れています。

③~➄は、品種名の後尾に「みどり」がついていますが、これは命名者が、「茶葉の色合いと水色が緑明るい」という特徴があることを伝えたい!という意図が伺えます。

 

被覆技術(の向上):

被覆栽培は、新芽生育期に品質向上を目的に行われてきました。一定期間遮光率の高い資材で 20 ~30 日程度被覆(遮光)を行いますが、用途によって被覆方法が異なります。

古来より玉露やてん茶は、茶園の隅に支柱を立て、その上に稲わらなどの天然被覆資材を重ねた「棚掛け」被覆で作られてきました。近年では、食品加工原料としての抹茶の需要が増加しています。それに対応するために茶園に直接被覆資材を掛ける、「直掛け」被覆が急速に増えました。

 

三重県では「直掛け」の場合、通常85%の遮光で14日間被覆しています。この時、摘採する前の5日間<10日目~14日目>は、もう一枚被覆して遮光率を高めると、「うまみ関与物質(アミノ酸)」と「かぶせ香関与物質(MMS)」が増加し、また葉色も向上するので、この技術を推奨しています。http://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000399729.pdf