まるわ

香り豊かな「芳」

香り立つ「深蒸し茶」。そのわけは土作りにありました。化学肥料や農薬を減らし環境との協調を考える「茶草場農法」にも取り組む生産者です。

 

 

茶草場(ちゃぐさば)とは、聞き慣れない言葉かもしれませんが、茶園に敷く草を育て採草する場所のことです。そして、茶草場農法は、その茶草場で刈り取った草を茶樹の根元や畝間に敷いて栽培する伝統農法のことを言います。静岡県内では、粟ヶ岳(あわんたけ)山麓(掛川市東山)などで古来より行われていました。茶園の敷草には、ススキの他、ササ等が使われていました。 これらを定期的に刈り取ることにより、キキョウやノウルシ、カワラナデシコ、ツリガネニンジン、ササユリなどの絶滅危惧種や希少野生動植物種が、「茶草場」で他の多様な動物、植物と共に生存してきたと考えられています。静岡県内の当該地区では、化学肥料だけに依存せずに高品質な茶の生産に努めてきたこと、生物多様性の保全や維持に貢献してきたことが評価されて、2013年に「世界農業遺産」に認定されました。

 

「生物多様性(Biodiversity)とは、環境省の定義によれば、「生きものたちの豊かな個性とつながり」です。地球上の生きものは40億年という長い歴史の中で、さまざまな環境に適応して進化し、3,000万種ともいわれる多様な生きものが生まれました。これらの生命は一つひとつに個性があり、全て直接に、間接的に支え合って生きています。、生物多様性は人類の生存を支え、人類に様々な恵みをもたらしています。生物に国境はないので、日本だけで生物多様性を保存しても十分ではありません。世界全体でこの問題に取り組むことが重要です。このため、1992年5月に「生物多様性条約」が作られ、採択されました。2017年現在、196の国・団体が加盟しています。

 

「生物多様性と農業」生物多様性の保護と、世界の食料の確保-(2008年 生物多様性条約事務局<カナダ>が作成した資料)http://www.biodic.go.jp/biodiversity/about/library/files/2008IDB_booklet.pdf  は、「農業は生物多様性の保全とその持続可能な利用に役立つが、生物多様性が失われる主な要因でもある。」と述べています。

農業者および農業生産者に対しては、「時間をかけて持続可能な農業システムへ転換していくという視点を持って、総合的病害虫・雑草管理技術や混合農業などの持続可能な農業を導入する。」ことを勧め、また消費者に対しては、「食料などの農産物を毎日消費するとき、自分の選択が環境に影響を及ぼしているのだと自覚する。」ことを促しています。

茶の栽培を含む多くの農業は、一定面積の農地に単一作物を植え、効率よく収穫(摘採)することを優先させています。

 特に茶は永年作物であり、持続可能な栽培ができなくなれば、産業としての茶業は成り立たなくなるでしょう。そういう意味でも、「茶草場農法」を取り入れる生産者や地域が増えていって欲しいと思います。

詳しくは、桐谷圭治(2012):「IBM (Integrated Biodiversity Management=総合的生物多様性管理) とただの虫」

https://ci.nii.ac.jp/els/contents110009596145.pdf  に、その必要性がわかりやすく書かれています。そちらをご覧下さい。