やまは

甘みたっぷり「旨」

茶葉の形状が多少細かくなっても、良く蒸して甘みを引き出すことが深蒸し茶の理想だと考えています。

ここで深蒸し茶について、お話しておきたいことがあります。

①誕生まで:

高度経済成長期から安定成長期に移行する1970 年代初め、静岡県の一番茶の荒茶価格は、1kg当り416 円(1965年)から同944 円(1970 年)に高騰したが、牧之原台地の茶は日照時間が長いために葉肉が厚く、従来の普通蒸し製法では苦渋味が強く出て、例えば大井川上流域の山間地茶(川根茶)に比較すると評価が上がらず、茶価上昇の恩恵を十分に受けることが出来なかった。牧之原の生産者Aらの荒茶を斡旋業者Bの仲介により高頻度で購入していた産地茶商Cは、取引先である東京都内の消費地茶店Dから求められていた、「食生活の洋風化や都市圏の飲料水の水質低下に対応できる茶」の開発をAらと共に行おうと考えた。Aは試験研究機関の成果を参考にしたCに、送帯式蒸機による深蒸し茶を提案した。Aが試作した深蒸し茶は、基本的な工程は普通蒸しと変わらないが、蒸熱時間を標準の約2倍から3 倍長くしたもので、茶葉の形状は細かいが、苦渋味を抑えた濃厚な甘味が特徴であった。Cから提示された試作茶を検討したDは、改善の必要はあったが、これを採用することを決めた。これを受けて、産地のAとCは、「深蒸し茶の製法改善と需給安定」に取り組んだ。 (加納・納口2018 「農業経営研究」誌に投稿中のものを一部引用しました)

 

「送帯式蒸機(そうたいしきむしき)

初期型は、前後2室に分かれた長方形の蒸室の中に、金網ベルトで茶葉を送り、上下より噴出してくる蒸気で蒸す構造をもった蒸機です。当初は、蒸し工程の効率化を念頭に開発されたため、茶葉形状が破断される短所があり、思うように普及しませんでした。そんな時、牧之原に住むひとりの生産者が、品質本位の茶(深蒸し)を試作しました。このお茶は、産地茶商や消費地茶店から予想以上の高評価を得ました。それを知った機械メーカーは、本腰を入れて機械の改良に取り組みました。その結果、茶葉形状の破断も一定程度防げるようになり、送帯式蒸機で作った深蒸し茶は、全国に広がっていきました。