研究開発

小さなお茶屋ですから、「お金も人材も十分に」というわけにはいきません。

だから、「モノづくり」や「仕組みづくり」をきちんとやって、大手茶商社の後ろにピタリとついて、進んで行こう! 

                                                                         生産者や機械業者、公設の試験研究機関などの協力を得て、いろいろなことにチャレンジしてきました。

全てがすべて、思い通りに運んできたわけではありませんが、「失敗は成功のもと」。

その都度、次につながるヒントをいくつも得ることができて、研究への意欲は未だ衰えず、挑戦は今も続いています。

 

平成

7年度

(1995年)

静岡県 農林水産業研究開発助成事業

<財団法人 静岡県科学技術振興財団 助成>

研究テーマ:「茶の品質管理と生産・流通の一貫したシステムの開発」

 

成果:

消費者が安心する、履歴のわかるお茶作りの"入口"(①そういうもの,そういう考え方が消費者に求められること, ②作り手の理屈ではなく飲み手の理屈でものを考えるとこうなること)を示すことができました。(この後,茶業界にもGAPやトレーサビリティーの必要性が広がっていくことになります。)

 

課題:

当時,Windows 95や98を使って,データを集計・分析する手頃な汎用ソフトがありませんでした。従って,”栽培”と"製造"の履歴を結びつけて,「こういうところで栽培されているお茶は,こういう風に製造したらより美味しくなる。」という一定の傾向や法則を導き出そうとする試みは,今後に持ち越されました。

 

平成

9年度

(1997年)

静岡県 地域産業創造技術研究開発事業

<静岡県 助成>

研究テーマ:「産地ブランド化をめざした21世紀型静岡茶の製造に関する研究開発」

 

成果:

21世紀型の静岡茶を,静岡県内ではポピュラーでなかった「釜炒り茶」であると位置付け、九州で使われている釜をベースにして,茶葉をかき混ぜる”撹拌手”の形状を何種類か作り,独自に開発した制御盤をつけて,「撹拌速度」と「釜の傾斜角を替えることが可能な」炒り葉機を作りました。回分式(非連続式)の機械だったため,能率を追求しなかった(できなかった)ことが奏功し,「釜香の発揚する高品質の釜炒り茶」を製造することが出来ました。私たちの取り組みが刺激になったのかはわかりませんが,その後まもなく、静岡県内産地では,地域ブランド茶を作り出すために「釜炒り茶作り」に挑戦する生産者が増えました。(川根本町など、現在も全国茶品評会・釜炒り製玉緑茶の部に継続エントリーしている産地は複数あると聞いています。)

 

課題:

蒸製の煎茶の製造が大半を占める静岡県においては,釜炒り製茶機自体の増加,普及はなかなか厳しく,20年経った現在も残念ながら実現していませんが,明るい話題もあります。「やぶきた・深蒸し」を中心に据えながら,(栽培方法,品種,製法を変えるなど)多様性のあるお茶づくりをしようとする生産者が現れてきたことです。この背景には,「生活シーンの中でいろいろなお茶を飲みたい」,そういうお茶を求めている消費者がいるからに違いありません。釜炒り茶生産も,伝統的な製法を続ける生産者がいる一方で,(萎凋香など)芳香のする中国茶風のお茶を作ろうとする動きや,品種香を釜炒りで強調しようとする試みも始まり,多様性の追求は軌道に乗ろうとしています。あとは,これらをどう商品化し、販売ルートを固定していくかだと思います。

 

平成10~11年度

(1998~1999年)

「協同組合 茶夢(さむ)ファクトリー」の1組合員として下記のテーマに取り組みました。

 

融合化開発促進事業

研究テーマ:「茶専門店活性化支援のための茶品質維持システムの開発」

 

成果:

当店の他に茶仕上げ機械業者2社,制御盤取付加工業者1社が参加して協同組合を作りました。この組織で開発した「店頭用茶火入れ機」は,少量の茶でもお客様のお好みの焙煎にして,出来立てを提供できる画期的なもので,数台を茶小売店に販売しました。その後も活用され好評でした。

 

課題:

1台1台を受注してからの生産でしたので,製作に時間がかかりました。セラミック樹脂を塗布した特殊な釜(金属)を使用し,遠赤外線による柔らかい火入れに実現を追求するなど機能性に重点を置いたため, 経済性や家電製品のような使い勝手の良さを出すことに苦労し,その実現は次に繰り越されました。

 

平成

15年度

(2003年)

中小企業連携組織調査開発等支援事業

 

「ハイクック(Hi-quk <high-quality keeping>)研究会」のメンバーとして、

研究テーマ:「環境に適応した茶袋の開発と、茶箱利用を前提とした保存のための加工機の開発」を行いました。

 

成果:

環境に配慮した(リサイクルが可能で,最終的に焼却処分も容易な)茶袋は,ガスバリア性が十分であるとは言えず,現時点では茶の品質を保持するために積極的に使おうとするレベルには達していないことがわかりました。消費地茶店では窒素充填が可能な袋を使用していても,窒素充填機がなく,品質保持が難しいとされています。今回当研究会は,コンプレッサーを備えた吸引装置の開発を試みました。その過程で,室温で「脱気(だっき)=布団圧縮機のように空気を抜く」だけ+「空気の流通遮断と遮光に効果のあるといわれている茶箱(木製・内側が亜鉛引き鉄板装着)」に保存するだけでも,何もしない(空気の流通を遮断しない)状態に比べれば,半年間で茶の品質を一定程度維持できることがわかりました。

 

課題:

消費地茶店には機械操作を苦手とする店員さんが多いこと,売り場が狭小で機械の置き場がないことを指摘されました。また段ボールは使い終われば畳んで廃棄できるが,茶箱はそれができないので不便である,そこを考慮して欲しいとの要望がありました。品質保持が実現しているので,あとは小型軽量化と使いやすさ(操作性)を継続して検討することになりました。